しかし、これとても会長の氏は電子計算機に編物をやらせて巨万 たる節があるはずである。 の富を築きつつあるという大変温厚なエンジニアだし、〈宇宙気 目の アメリカのファンダムの流れをたどっていてしみじみ感じた流〉そのものだって決して教育上よろしくないわけではない。 一べージほど ということだっ仇にされているのは、「インサイド宇宙気流」という のは、日本のファンは善い人ばかりだな のコラムなのである。最初のうちは、やれ誰それがお見合をしたと か、「ファンジンひらけば柴野が見える。あいつはファンか気違い もちろん、これは当時の資料やなにかから受けた印象だけだが、 か , などという俚謡 ( ファンジンのお便り欄に小まめに手紙を出す ウォルハイムにしろシコラにしろ、実に汚なったらしい奴だったよ 柴野拓美氏をからかったもの ) を紹介したりで、至極無邪気だった うである。今月紹介するプルーマーやべック、プリッシュなども、 のだが、こんなネタはすぐにつきてしまう。そこで止せばよいの ちょっと日本のファンダムでは見当らぬほどアクの強い連中だ に、他のファンクラブの大物にチョッカイをかけ始めた。相手は当 ったらしい。やつばりアングロサクソン気質みたいなものか、大和 しいものを、 然大ムクレで噛みついてくる。そのへんで止めときや、 民族にはちょいと想像もっきかねるほどである。 日本のファンダムで、最も悪辣なファンジンといえばやはり今度は「訂正とお詫び」と称して散々な追い討ちをかける。とうと あまりのアコギさに内部からまで非難の火の手が上り、こいっ 〈宇宙気流〉ということになろうか。 ( 許せョ。本当の事を書いて ) を消しかねて〃あの執筆者はもう死んでしまいましたから、今後は 大丈夫です″などと言い訳にもならない言い訳でトボけ抜いたりす 左からシ 4 ワルツ、ビンダー、パーマー る。かと思うと、同誌に載ったある論の論理が支離減裂だと、 ファンダム界有数のハードさを誇っていた北海道の〈コア〉 ( 現在 休刊中 ) に撲り込みをかけられ、ダンビラをぶんまわされた案配で コテンコテンにやられ、シャカリキになって防戦に相っとめ、なん とかかんとか辛うじてこれを切りぬけたり : まあいずれにしろ、いささかドジなだけで、決してウォルハイム こういった天孫民族の良俗は日本 のようなタチの悪さはない。 ファンダムから絶対に失なわないようにしたいものたと思う。 さて、が (J) s-a をくいつぶしたのとほ・ほおなじころ、アメ リカ西海岸ではファンダムの第三の流れといわれれるひとグル ープが胎動を始めていた。 〈サイエンス・フィクション・クリティック〉という個人誌を出し ていた、クレア・・・ヘックがロスアンゼルスからサンフランシス 7
関西における tn ファンダムの〃祖〃といえば、これはもう筒井 五、機関誌の発行は、でぎるだけ期日を遅らせること。評価がぐ 康隆とそのファンジン〈ヌル〉をおいて他にはないわけだが、昭和っと高くなる。 四〇年に大阪で結成されたファングループ〈タイム・ 六、会員中に、悪口ばかり言う男、嫌われ者、女たらし、その他 のファンジン〈タイム ・パトロール〉の創刊号に彼は、「ファン 名物男などを、各一人宛でっち上けること。 クラ・フを大組織に発展させる方法 , と題して、十箇条からなる秘訣 七、専門誌に載った作品は必ずけなすこと。同人誌に載った作品 を後輩に伝受している。 は必すほめること。権力に対する反抗精神を会員に植えつけよ。 一、会費はあまり安くしない方がよい。適当に高い方がよい。会 八、クラブのメン・ハーだけにわかる洒落、言葉などを作ること。 員にエリー ト意識をもたせるからです。 九、会員証、。ハッジなどは、早くから作ろう作ろうといい立てる 二、会合日の間隔はある程度ひらいていたほうがよい。 ( 中略 ) こと。そして、 いつまでたっても、絶対に作らぬこと。 飽きさせないためです。また、五度に一度は休会にすること。 十、新入会員は、最初はすごく親切にし、適当な時期を見てつめ 三、あまり、大声で入会を呼びかけない方がよい。 さりげなく勧たくつきはなすこと。この時期が過ぎてふたたび、あたたかく会員 誘すること。博徒が非行少年を仲間にひきずりこむ方法を参考にす 間に溶け込ませてやること。 ればよろしい これが、その十箇条である。 四、主宰者は、適当に流言を会員間にまき散らすこと。会合日が 彼一流の逆説が含まれていて、思わずニンマリしてしまうが、も 賑やかになる。会員間には絶えすロマンスの噂をささやかせるこし、あなたがファンクラ・フに限らず、何らかのグループの運営 と。時には主宰者みずから進んで噂のもとになってもよい にタッチした経験をお持ちならば、必らす三箇条や五箇条は思いあ S 冂Ⅷ間 を、ま 20 証 N 日 0 粐 ' 第、 A 道 DE 杯け YAG [ ・ ! を一砂 / ー 0 P 村山凵を 5 連載コラム rn 実験室① 今昔ふあん気質考 かたぎ アメリカファンダム略史Ⅲ 野田宏一郎 6
ギャラクシイ・サイエンス・フィクション誌特約 表紙金森達 目次・扉中島立靑保 イラスト 真鍋博金森達 中島靖保岩淵慶造 MAY, 1968 , VOL.9, NO. 5 S F マガジン 5 月号 ( 第 9 巻第 5 号 ) 2 昭和 43 年 5 月 1 日印刷発行発行所東京都 千代田区神田多町 2 の 2 株式会社早川書房 丁 EL 東京 ( 254 ) 1551 ~ 8 発行者早川清 編集者福島正実印刷所日東紙工株式会社 い′・ AJ なしつ / 、 実験室】詩今昔雰ん気質考その 3 連載科学コラム 、フるとら世界周航記、【と原子力。てト基地 t-n スキャナー t-n でてくたあ トータル・スコープ 異色読物的人問蒸発 少年少女が出くわした三本指足の怪人・ 恐怖の皆殺し兵器超低音波放射砲・ t-D LL- ショートショート・コン一アスト月問ベスト作ロå サンヨー 人気力ウンター さいえんす・とびつくす・ ホビイ一に 英雄は死んだ 世界みすて ・〈テラン、新進英米作家中競作′ 6 〇枚 エリック・フランク・ラッセル キース・ローマー てれぽーと : 日ルーー三月 X 日 : ア イ ク 岡伴川藤下ア広 シ 俊昌喬典実 モ 哉司司夫男フ郎 152127123 140 149 1 1 : 福島正実